就労継続支援A型や就労継続支援B型の支援を受けた後に就労し、6ヶ月以上就労継続している者がいる場合、基本報酬の区分及び定員規模並び評価点等に応じた所定単位数に6ヶ月以上就労継続している者の数を乗じて得た単位数が加算されます。
就労移行支援体制加算は、就労継続支援事業所から一般企業へ就労し、6ヶ月以上継続して就労できるように支援したことを評価される加算です。前年度の実績により評価される加算で、1年間を通して通所した利用者全員に算定される加算ですので、とてつもなく大きな加算と言えます。
就労移行支援体制加算の対象となる障がい福祉サービスとは
就労移行支援体制加算を算定することができる障がい福祉サービスは、「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」です。
就労継続支援A型の就労移行支援体制加算の単位
利用定員 | 20人以下 | 21人以上 40人以下 | 41人以上 60人以下 | 61人以上 80人以下 | 81人以上 |
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就労継続支援A型(Ⅰ)を算定している事業所 | 評価点に応じて 50~93単位/日 | 評価点に応じて 23~49単位/日 | 評価点に応じて 14~35単位/日 | 評価点に応じて 10~27単位/日 | 評価点に応じて 8~22単位/日 |
就労継続支援A型(Ⅱ)を算定している事業所 | 評価点に応じて47~90単位/日 | 評価点に応じて22~48単位/日 | 評価点に応じて13~34単位/日 | 評価点に応じて10~27単位/日 | 評価点に応じて 7~21単位/日 |
就労継続支援A型を経て企業等に就労した後、当該企業等での雇用が継続している期間が6ヶ月に達した者(就労定着者)が前年度にいる場合、「利用定員」「人員配置に基づき算定する就労継続支援A型サービス費の区分」及び「評価点」に応じた所定単位数に前年度の就労定着者の数を乗じて得た単位数を加算します。
就労継続支援B型の就労移行支援体制加算の単位
利用定員 | 20人以下 | 21人以上 40人以下 | 41人以上 60人以下 | 61人以上 80人以下 | 81人以上 |
---|---|---|---|---|---|
就労継続支援B型(Ⅰ)を算定している事業所 | 48~93単位/日 | 22~49単位/日 | 13~35単位/日 | 9~27単位/日 | 7~22単位/日 |
就労継続支援B型(Ⅱ)を算定している事業所 | 45~90単位/日 | 21~48単位/日 | 12~34単位/日 | 9~27単位/日 | 6~21単位/日 |
就労継続支援B型(Ⅲ)を算定している事業所 | 42単位/日 | 18単位/日 | 10単位/日 | 7単位/日 | 6単位/日 |
就労継続支援B型(Ⅳ)を算定している事業所 | 39単位/日 | 17単位/日 | 9単位/日 | 7単位/日 | 5単位/日 |
就労移行支援体制加算(Ⅰ)、就労移行支援体制(Ⅱ)
就労継続支援B型サービス費(Ⅰ、従業者配置7.5:1)又は就労継続支援B型サービス費(Ⅱ、従業者配置10:1)を算定している就労継続支援B型を経て企業等に就労した後、当該企業等での雇用が継続している期間が6ヶ月に達した者(就労定着者)が前年度にいる場合、「利用定員」と「平均工賃月額」に応じた所定単位数に前年度の就労定着者の数を乗じて得た単位数を加算します。
就労移行支援体制加算(Ⅲ)、就労移行支援体制加算(Ⅳ)
就労継続支援B型サービス費(Ⅲ)又は就労継続支援B型サービス費(Ⅳ)を算定している就労継続支援B型を経て企業等に就労した後、当該企業等での雇用が継続している期間が6ヶ月に達した者(就労定着者)が前年度にいる場合、「利用定員」に応じた所定単位数に前年度の就労定着者の数を乗じて得た単位数を加算します。
就労移行支援体制加算の計算方法
就労移行支援体制加算は、通所している利用者全員に1年間加算される最大級の加算です。総額ではかなりの金額になるので、それだけで経営の安定にも繋がります。
計算例
- 就労継続支援B型(Ⅰ)従業者配置7.5:1
- 定員20人
- 前年度の就労後6ヶ月以上継続勤務した者:1名
- 平均工賃月額が1万5千円以上2万円未満:65単位
- 地域単価16円(大阪府大阪市)
上記のモデルケースでは、
65単位×16円=1,040円
1,040円×1名=1,040円
18名の利用者が20日通所した場合、
1,040円×18名×20日=374,400円/月
374,400円×12カ月=4,492,800円/年
前年度に1名の就労定着者は輩出することができた上記のモデルケースでは、374,400円/月の加算額を手にすることができます。
仮に前年度に2名の就労定着者がいた場合、
374,400円×2名=748,800円/月
748,800円/月×12カ月=8,985,600円となります。
利用者の通所は各事業所の課題ではありますが、このように加算額を狙うことも可能です。
就労定着とみなされるかどうか
例1)就労した後、6カ月経過前に転職しました。この場合は?
→原則として、転職した場合は継続して6ヶ月間就労したとは言えないので就労定着者とはなりません。しかし、就労継続支援B型を経て企業等に就労した後、就労継続支援B型の職場定着支援の努力義務期間(就職した日から6ヶ月)中において労働条件改善のための転職支援等を実施した結果、離職後1ヶ月以内に再就職し、かつ最初の企業等の就職から起算して雇用を継続している期間が6ヶ月に達した者は就労定着者となります。
例2)正社員しか認められない?パートやアルバイトは?
→企業等への就労は、企業等との雇用契約に基づく就労をいい、労働時間等労働条件の内容は問われません。つまり、正社員として就労した者だけでなく、パートやアルバイトとして就労したとしてもOKです。(企業も公務員も可)
例3)6か月以上就労したことはどう証明すればいい?
→就労先に「在籍証明書」を発行してもらいましょう。在籍証明書が難しい場合には、給料明細書や社会保険関係書類で在籍を証明できる書類で代替できる場合があります。どのような書類で代替できるかは自治体の判断になりますので、あらかじめ自治体の担当部署に確認してください。
例4)就労継続支援B型の利用者が、就労継続支援A型に就職した場合に就労移行支援体制加算の算定は可能ですか?
→就労継続支援A型事業所への移行や施設外支援の対象となるトライアル雇用では、就労移行支援体制加算は算定できません。
例5)就労移行支援体制加算の算定のタイミングはいつ?
→就労移行支援体制加算は、毎年4月上旬に前年度の実績報告と加算届を提出することになります。その際、前年度中に「就労後6ヶ月間の継続勤務」の実績が必要です。つまり、3月末日までに「就労後6ヶ月間の継続勤務」が完了している必要があります。
まとめ
就労移行支援体制加算は、加算の単位そのものは小さな加算ですが、就労定着者の人数によって加算額も大きくなります。また、通所した利用者全員に算定されますので、トータルで考えればかなり大きな加算になります。
就労定着支援は、既に就労継続支援や就労移行支援を運営している事業所様であれば比較的少ない人員配置で指定を取ることも可能ですので、利用者様の就労の定着のためにも就労定着の指定を取ることも検討されてみてはどうでしょうか?